SFC創設30周年便乗連載「フラ研、フラ語、ここ10年。〜2011-2020〜」vol.1

ボンジュール。フラ研です。季節外れに暖かい日が続いておりますね。さて、改めて今回からフランス語研究室やSFCフランス語のあれこれの「ここ10年」の歴史を私的な記憶で振り返りながらアーカイブする本企画、スタートいたします。まずは、筆者の僕がSFCの学部に入学した2011年の春学期から始めようと思います。懐かしい。

2011年は東日本大震災の年だったので、(おそらくは各大学と同様に)SFCもその不測の事態に追われる形で、本来であれば4月に始まるはずだった春学期は、4月いっぱい1ヶ月間の休止を余儀なくされました。当時、SFCのキャンパスの地面に亀裂が走っていた写真は、鮮明に記憶に残っております。今年はコロナウィルス感染拡大の影響でやはり同様の措置が取られましたが、キャンパスライフの1年目と10年目がこのようにリンクするものかと、あまり良いものではないですが、円環めいたものを感じております。私的すぎる話で、デゾレ。

そんなこんなで5月から授業が開始されたわけですが、本格的な授業開始に先立ち、まずは大学生活に関する様々なガイダンスが催されました。こちらはほぼ例年通りのラインナップだったかと思います。その一連のガイダンス群の中に「言語ガイダンス」というものがあります。これは新入生たちに向けて各言語セクションからのプレゼンが行われるもので、簡単に言うと「君たちうちの言語の授業を履修しなよ!」というアピールがなされます。あの手この手で。SFCの外国語の授業は他キャンパスに比べても多くの語種が取り揃えられていることもあり、学生たちにとっては贅沢な悩みというかよりどりみどりという感じでしょうが、だからこそ決めかねるという学生も多い中で、この言語ガイダンスは大きな指標になることでしょう。

言語ガイダンスの各言語のプレゼンの仕方は様々で、例えば英語や中国語などはこれからの国際社会での当該言語の重要性などを説いたりします。どの言語のプレゼンもそれぞれに特色が出されていて、ややもすればさらに選択に迷ってしまいそうにもなります。ですが、当時僕が見た中では、フランス語だけはどうもちゃんと授業の魅力を伝える気がないというか、頭に鳥が住んでそうなフランス人と顎がシュッとした日本人の先生が、二人でひたすら壇上で漫談をしていた記憶があります。制限時間いっぱいを使って。何をしとんねん。僕の記憶違いだったらすみません。その様子を見て、フランス語履修を決めました。たぶん半分は嘘です。記憶に基づいた語りなんて、大概そんなもんでしょう。

そうしてフランス語の授業、インテンシブ1からの履修が始まりました。当時所属していた僕のクラスは(フランス語の授業あるあるだとは思いますが)男女比が偏っており、男子の数は数人のみでした。さらに、僕を含め、男子たちは皆それぞれの形でコミュニケーションに難のあるメンバーが揃ってしまったため、しばらくの期間は教室の端っこの方で男子たちがちんまりと固まって授業を受けていたのを覚えています。中学生か。

当時の僕は彼らと時間を過ごすことが多く、フランス語の授業が終わったあともしばらくダラダラとキャンパス内をふらついておりました。ある日、そんな冴えない日常をどうにかしようと思い立った男子たちは、「どうやらいつも授業を受けている教室の上の階にフランス語研究室というものがあるらしい」という噂を聞きつけます。風の噂ってすごい。そこには歴戦のフランス語ライフを乗り越えてきた先輩たちがいるらしい、と。彼らに頼れば、僕らのこのアレな現状に何か光が差すのではないか、と。安易。そういうわけで、あらゆるコミュニケーションにあわあわしていた僕たちですが、一念発起して、λ館の階段を昇り、3階へと向かいました。今も思い出される胸の高鳴り。

これが僕とフランス語研究室との初めての出会いになるわけですが、続きはvol.2で。小刻みにやっていきたい。さて、今日のお写真は頭に鳥を飼ってそうなフランス人です。これからの季節、暖かそうですね。僕も中に入れてください。それではまた次回お会いしましょう。アビアント。(F)